金地院崇伝 短冊幅 「慶賀」
七言律詩 打雲料紙
台貼軸装 箱入
堀池春峰箱書
少虫損有
1569-1633 織豊-江戸時代前期の僧。
永禄12年生まれ。臨済宗。京都南禅寺金地院の靖叔徳林の法をつぎ,慶長10年(1605)同寺住持。徳川家康につかえ,外交事務,方広寺鐘銘事件や寺社行政,諸法度の起草,キリスト教の禁圧,紫衣事件に関与し,幕府の基礎づくりに貢献。黒衣の宰相といわれた。江戸金地院の開山。寛永10年1月20日死去。65歳。俗姓は一色。通称は金地院崇伝。諡号は円照本光国師。著作に「異国日記」「本光国師語録」。
【読み】
君臣道合兼賢 罷雨恩風遍一天 松樹秋半猶未老 連枝献壽萬新年
君主と家臣の目指す道がしっかりと調和し、賢人のような優れた才能を互いに兼ね備えている。
恵の雨や慈愛の恩風が、空(一天)の隅々まであまねく行き渡り、世の中が平和に満ちている。
厳しい秋を迎えても、松の木は変わらず青々と茂り、未だ衰える様子を見せない。
人々が仲睦まじく枝を連ねるように長寿を祝い、末永い万年の繁栄を祈る。
君臣道合聖兼賢(くんしん どうごうし、せい けんをかねたり)
君臣道合(くんしんどうごう):君主(リーダー)と臣下(部下)の志や理想、進むべき「道」が完全に一致し、固い信頼関係で結ばれている様子を表します。
聖兼賢(せいけんをかねたり):最高峰の徳を持つ「聖人」と、優れた知恵を持つ「賢人」の両方の素質が備わっていることです。君主が聖人で臣下が賢人、あるいはその両方が素晴らしい資質を併せ持っているという、理想的な政治体制を称賛しています。
罷雨恩風遍一天(ひう おんぷう、いってんにあまねし)
罷雨(ひう / はう):ここでは「適度な雨」や「雨が上がってすっきりと晴れ渡る」という意味。
恩風(おんぷう):君主の恵みや慈愛が、心地よい風のように人々に染み渡ることを例えた言葉です。
遍一天(いってんにあまねし):「一天」は空全体、つまり「天下(世界すべて)」を指します。優れた政治によって、国の隅々まで平和と幸福が行き渡っている情景を描いています。
松樹秋半猶未老(しょうじゅ しゅうはん、なおいまだおいず)
松樹(しょうじゅ):冬でも葉を落とさない松は、東洋において「長寿」「不変」「節操(信念を曲げないこと)」の象徴です。
秋半(しゅうはん):秋の半ば(仲秋)。草木が枯れ始め、衰えを感じさせる季節です。
猶未老(なおいまだおいず):それにもかかわらず、松だけはまったく老い衰えることなく、力強く青々としている様子です。衰えることのない生命力や、揺るぎない国家の基盤を意味します。
連枝献壽萬新年(れんし じゅをけんじて、まんしんねん)
連枝(れんし):比翼連理(ひよくれんり)の言葉にもあるように、隣り合う木の枝が連なって一本になることから、「仲睦まじい夫婦」や「固く結ばれた一族、臣下たち」を意味します。
献壽(じゅをけんず):長寿やお祝いの言葉を捧げることです。
萬新年(まんしんねん):一万年もの長い間、常に新しい年(未来)を迎え続けること。すなわち、国家や家門が永遠に栄え続けることを祈る言葉です。
この詩は「七言絶句」で、おめでたい席(祝宴や新年の朝賀など)で詠まれる「頌徳詩(しょうとくし:徳をほめ称える詩)」の性格を持っています。
前半(1〜2句):政治・社会の安定(素晴らしいリーダーと組織によって、天下が平和に治まっていること)
後半(3〜4句):生命・未来の繁栄(松のように衰えることなく、一族や国が末永く栄えていくこと)
このように、「今の素晴らしい平和(徳)」が「未来永劫(長寿・繁栄)続くように」という願いが、美しい自然の景色(雨、風、松)に重ね合わせて表現されています。
価格:275,000円(税込)
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